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高森明勅
2017.4.23 00:00

竜頭蛇尾

竜頭蛇尾とはこのことか。

天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」
最終報告書を提出した。

その内容には、「天皇の公務の負担軽減」についての提言は、
全く含まれていない。

何の為の会議だったのか。

ご譲位を巡る最大の論点は
皇室典範の改正による恒久制度化か、
特例法による一代限りの例外的措置か」。

これについても両論併記でお茶を濁した。

1月に発表したレポートでは、
一代限りの特例法に加担しているように見せかけながら、
中身をよく見るとその致命的欠陥が指摘されている有り様。

だから、法整備の骨格作りは与野党の協議に委ねられた。

そこでは民進党の努力により、
本筋を大きく踏み外さない線で、
ご譲位を可能にする合意が成り立った。

結局、有識者会議はそれに伴う付属的で
テクニカルな課題の整理だけを、
行うことになった。

しかも最終報告書が提出される何日も前に、
その内容を盛り込んだ特例法骨子案が各党に示され、
メディアや私の手元にまで届いた。

有識者会議が単なるお飾りに過ぎなかった事実を、
政府はもはや隠そうともしていない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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